【フェアユース】
フェアユース(fair
use)とはアメリカ合衆国の著作権法などが認める、著作権侵害の主張に対する抗弁事由の一つである。同国の著作権法107条(17
U.S.C. §
107)によれば、著作権者の許諾なく著作物を利用しても、その利用が4つの判断基準のもとで公正な利用(フェアユース)に該当するものと評価されれば、その利用行為は著作権の侵害にあたらない。このことを「フェアユースの法理」とよぶことがある。フェアユースの大きな特徴の一つに、著作物が著作権者の許諾なしに利用できる場合(つまり、著作権が制限される場合)の規定の仕方については、限定的使用のための複製や引用、また裁判手続等における複製等のような具体的な類型を列挙する方法によるのではなく、抽象的な判断指針を示す方法によっていることがあげられる。
1976年著作権法では「批評、解説、ニュース報道、教授(教室での利用のための複数のコピー作成行為を含む)、研究、調査等を目的とする」場合のフェアユースを認めているが、著作物の利用がフェアユースになるか否かについては少なくとも以下のような4要素を判断指針とする。
利用の目的と性格(利用が商業性を有するか、非営利の教育目的かという点も含む) 著作権のある著作物の性質
著作物全体との関係における利用された部分の量及び重要性 著作物の潜在的利用又は価値に対する利用の及ぼす影響
1976年著作権法は著作物の無断利用がフェアユースとされる場合の要件を大まかに規定しており、判断指針として条文化されているに過ぎない(これに対し、§108以下の規定に基づく著作権の制限は準則として示されている)。このため、フェアユースになるか否かは個々のケースについて裁判所が判断する。またこれらの判断要素についてはある要素が他の要素より重きを置くことを要求されておらず、フェアユースになるか否かはこれらの要素を総合的に判断することによって決めることになる。
このようにフェアユースの法理は抽象的な判断指針として示されているに過ぎず非常に曖昧な点があるため、個々のケースについて著作物の無断利用が著作権侵害になるのか否かに関して訴訟で深刻な争いが起きやすい。例えば日本の著作権法には私的使用のための著作物の複製に関する規定が存在するが(著作権法30条)、米国著作権法には同旨の規定が存在しない。そのため、テレビ放送の私的使用のための家庭内録画が著作権侵害になるか否かにつき深刻に争われたことがある(Sony
Corp. of America v. Universal City Studios Inc., 464 U.S.
417、いわゆるベータマックス事件)。