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@mizrock
2008年10月01日に利用開始
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あなたに教えておく。 うまく言語化できない。情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない。でも、聞いて。 わたしは普通の人間じゃない。 性格に普遍的な性質を持っていないという意味ではなく、文字通りの意味で、 わたしは大多数の人間と同じとは言えない。 この銀河を統括する情報統合思念体によって作られた対有機生命体コンタクト用ヒュ ーマノイドインターフェイス。 それがわたし。 通俗的な用語を使用すると宇宙人に該当する存在。 わたしの仕事はあなたを観察して、入手した情報を統合思念体に報告すること。 生み出されてから3年間、私はずっとそうやって過ごしてきた。 この3年間は特別な不確定要素がなく、いたって平穏。 でも最近になって無視出来ないイレギュラー因子があなた自身に現れた。 情報統合思念体にとって、銀河の辺境に位置するこの星系の第3惑星に特別な価値など なかった。 でも現有生命体が地球と呼称する、この惑星で進化した二足歩行動物に、知性と呼ぶ べき思索能力が芽生えたことにより、その重要度は増大した。 もしかしたら、自分たちが陥っている自律進化の閉塞状態を、打開する可能性がある かもしれなかったから。 宇宙に偏在する有機生命体に、意識が生じるのはありふれた現象だったが、高次の 知性を持つまでに進化した例は、地球人類が唯一だった。 統合思念体は注意深く、かつ綿密に観測を続けた。 そして3年前、惑星表面で他では類を見ない異常な情報フレアを観測した。 弓状列島の一地域から噴出した情報爆発は、瞬く間に惑星全土を覆い、惑星外空間に 拡散した。 その中心にいたのがあなた。 以後3年間、あらゆる角度からあなたという個体に対し調査がなされた。 しかし未だその正体は不明。 それでも統合思念体の一部は、あなたこそ人類の、ひいては情報生命体である自分たち に自律進化のきっかけを与える存在としてあなたの解析を行っている。 情報生命体である彼らは、有機生命体と直接的にコミュニケートできない。 言語を持たないから。 人間は言葉を抜きにして、概念を伝達する術を持たない。 だからわたしのような人間用のインターフェイスを作った。 情報統合思念体は、わたしを通して人間とコンタクト出来る。 あなたは自律進化の可能性を秘めている。 恐らくあなたには、自分の都合の良いように周辺の環境情報を操作する力がある。 それがわたしがここにいる理由。 あなたがここにいる理由。 信じて。 あなたは選ばれた。 あなたは意識的にしろ無意識的にしろ、自分の意思を絶対的な情報として環境に 影響を及ぼす。 あなたが選ばれたのには必ず理由がある。 あなたが、全ての可能性を握っている。 情報統合思念体の意識の大部分は、あなたが自分の存在価値と能力を自覚 してしまうと、予測できない危険を生む可能性があると認識している。 情報の変動を観測するため、この情報を伝えた。 情報統合思念体が地球に置いているインターフェイスは、私一つではない。 情報統合思念体の意識の一部は、さらに積極的な動きをして情報の変動を観測しよう としている。 あなたは情報統合思念体にとっての鍵。 危機が迫るとしたら、まずあなた。